夜の外路地

仕事帰り、家路をテクテク歩いていると、
左斜め後ろから、
ズリッズリッという、何かを引きずるような音が聞こえた。

その音は、すぐに誰かの足音であることは
酔っ払ってる自分でも予測できた。

ズリッ
ズリッ

と、酔っ払っている僕が遅いのもあるが音はどんどん近くなってくる。

(痴漢?)

自分が男であることも忘れ、そういった危険性が
頭によぎる。
すぐに「無い」という結論に至ったわけだけど。

ズリッ
ズリッ

と、その足跡が僕の横に並んだかと思うと、
僕の前に出た。

女の人だった。
TシャツにGパン。
足音の原因はサンダルだった。
髪は肩にかかるぐらいの長さでストレート。

徐々に僕を引き離しにかかる。
と、その瞬間、その女性は歩くのを辞め、
なにやらケータイをし始めた。

当然、僕が抜き出る形になる。
ココで、僕も立ち止まったら変態だ。

家までは後15mもない。
電話の女性に後ろ髪引かれつつも
一見普通の速さで家路を歩く。

4、5歩ぐらいだろうか?
僕が先を歩いたところで、
その女性が歩き出した。同じ方向だ。

家の前まで来た。右折。4段しか無い階段を上がる。
左にポスト。今日もいらない広告だけ。

家(正式にはアパートの1室)は、1階正面である。
前進。

後ろに足音。
あの女性がこちらへ向かってきているようだ。

困惑。
何?宗教?

多少以上のビビリ。
ピッチを早め、急いで部屋にはいる。
鍵。

その後、魚眼レンズから女性の行方を確認する
僕はやっぱり変態です。

__________半フィクション